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ANTIQUE JAPANESE RADIO/日本の古いラジオ

written by Koji HAYASHI, Ibaraki JAPAN

Mini-Museum of Japanese Radios/日本のラジオのミニ博物館

Radio Tubes After WWII/戦後のラジオ球

Audio Tubes/オーディオ球

Power Triode Japanese

Power Triode American

Power Beam Japanese (B Series)

Power Beam American(1) Large

Power Beam American(2) Small


Page-AusB. American Type Audio Beam Power Tubes in Japan/日本の中の米国系ビーム出力管

Part 1 Large Size/大型管

2nd Edition (2006.11.23)

HomePageVT/Audio_US_Beam.html


6L6

6L6G (See 6BG6G)

6L6GT

6L6GC

6п3с(6P3S)

5881

6V6

6V6GT/G/VT107A, 6V6GTY

6V6GT Toshiba, NEC

6п6с (6P6S)

6V6GTA

25L6GT

6Y6G

6550

7868


6L6GT

6L6-GTという名称の球は日本だけで造られたかも知れません。6L6系でコンパクトな球といえば,何と言っても元祖メタル管。無理矢理セットに押し込めるには,米国ではメタル管で事足りたのですが,国内ではガラス管が主流。6L6-Gのガラス管を何とかコンパクトにしたものが欲しかったのでしょう。神戸工業TEN(後に富士通に吸収)の製品が有名ですが,いつ頃作られたかは定かではありません。1960年の型録には6L6-Gとともに既に掲載されていました。おそらく1950年代後半には作られていたものと思われます。また,有名ではありませんが,東芝も1960年にオルガン用として製造しました。

Kobe Industry TEN 6L6-GT (FG2) in 1956?/神戸工業TENの6L6-GT。FG2,通信用。(1956年?)。

造りは6L6GのGT版というよりは,高圧パルス用に改良した6BG6GのGT版です。ピンチステムですが,ゲッタは皿型が2つもあります。マイカにはプレートと他の電極間に大きな切り込みがあり,設計は良さそうですが,いかんせん,ガラスの入れ物が小さすぎました。この球は完全なエミ減球でgm=20。マイカ板とプレートの隙間,ガラス管頭部のマイカの切り込み付近のガラス壁は黒化しています。よほど高熱下で動作させたのでしょう。熱的には非常に無理な設計ですから,相当短寿命だったと思われます。

後に富士通になってからも6L6GTは作り続けたようです。佐藤定宏氏はラジオ技術誌1986.3の記事で,1970年代の富士通の6L6GTは「ゲッタも円形の最新型で非常に特性の揃った安定性の高いタマで米国製軍用の5881に匹敵するものである」と紹介しています。なお,箱の写真説明に「富士通の箱入りだが中身は神戸工業テン製」とありますが,テンは1968年富士通に吸収されてしまい,以降富士通の名称で真空管を出荷したのでした。

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6L6GC

6L6GCは1958年頃,米国GEが開発したと思われます。6L6系のPbmax19Wに対して30Wまで強化されました。今日から見ると6L6が改造されていったのは自然の流れのように見えますが,実際には強力な球EL34/6CA76550KT886G-B8などの誕生の後でしたので,当時は古めかしい球のリバイバルとして捉えられました。大きすぎる球に対して,程良い中間の出力が望まれたようです。

国内では,東芝が1960年に国産化しました。Hi-Fi用と銘打っていました。他に日立が同じ頃に6L6GC(Hi-Fi用)を製造しています。当時の価格(定価)は1,200円でした。NEC(新日電)は6L6GB(Pbmax19W)だけを製造したようです。

Toshiba 6L6-GC in End of 1960s/東芝6L6GC。1960年代末。

灰色提灯形プレート。大型ドーナツ・ゲッタ2個がプレート側面にある。g1支柱頭部には小型黒化U字形フィン。g1,g2支柱は銀色。マイカ板は長方形でグリッド支柱とプレート支持部間には直線のスリットがあり絶縁している。ガラス管壁に白字。管名はアルミ銀色で横長枠に表示。中古。ガラス管頭部は黒化。未計測。私は6L6GCには縁がなく1998年11月にようやく入手したサンプル。現物を見てはじめて提灯形と知った。

Toshiba Box for Hi-Fi Pair Tubes/東芝のHi-Fiペア箱(4CF14R2 へ09)。

オレンジと紺の時代。6L6GC 306-42140。中身は4CF10R5ね09。中古。1976年12月8日使用可と記入されている。

6п3с/6P3S

ロシアの6L6GC相当管を紹介しましょう。最近は球屋さんに数多く出回っていますが,安いだけでなく出来も良いようです。

Front and Side of Russian 6P3S in 1981/ロシアの6п3с/6P3S(1984年3月製)の側面と正面。

ガラス管壁に青インキで(OTK 11 18 3 84),裏面には6п3с 0284。(製造は1984年2月,出荷?が1984年3月)。上部マイカ板にはサイド・マイカ(金属板とマイカ)。下部は4本の金属ベロでガラス管に支持。まるで小型送信管並。提灯形灰プレート。BP(ビーム・プレート)も灰。サンプルは新品。シダ・エレクトロニクスのシダさんより寄贈いただいた。

Top and Bottom of 6P3S/電極上部と下部のマイカ板。

上部マイカでは,カソードとg1支柱間にスリットがある。またプレートと各電極間に四角の穴が両側2つづつある。その片側2つを使って金属ベルトを固定しカソードに接続しているが,どこにも繋がっていない。カソードの脱落防止?g1フィンはU字形。

下部マイカ。ヒータは太いヘアピン。内部でコイルになっているかどうかは不明。ピンチステムがやや古い技術だが,しっかりしている。その下のベースピンへのカソード引き出し線にはエンパイア・チューブが被せてある。

Getter and Box/ゲッタは円盤形で有名。箱はふにゃふにゃの紙。

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6V6GT,6V6GT/G,6V6GTY

6V6系の元祖は米国RCAが1937年に開発したメタル管6V6です。国内では東京電気(マツダ)が1938年頃に国産化したものの,もっぱら軍用に少量製造したに止まったことは,先に述べた通りです(戦時中の特殊管参照)。米国では同じ年にそのガラス管版6V6-Gも誕生しましたが,6V6の取り柄は小型なのですからマイナーな存在だったようで,その後は欧州で発展しました。主流となるチューブラー型の6V6-GTは2年後の1939年に登場し,ラジオやアンプに多用されました。しかし,国内では戦争による中断のため国産化は見送られ,戦時中には移動通信用の12Vガラス管のPH-1が東芝マツダにより作られたに止まりました。

米国では,戦後1945年にはさらに小型のMT管6AQ5が作られましたが,国内では1947年頃になってようやくラジオ用に米国6V6GTのヒータ規格その他を違えた類似管が各社によって作られ,6V6GTそのものを国産化したのは1948-1949年頃のにことでした。でも,高価でしたのでラジオに使われるのは希で,ラジオ用には廉価なST管UZ-42が多用されました。6V6GTが国内の表舞台に現れたのはまず通信用で,次いで1950年代中頃に国民が余裕を持つようになるとHi-Fi用ブームが訪れ,家庭用のアンプなどに活躍するようになりました。しかし,1950年代末には,高性能なMT管EL84/6BQ5の出現により首位の座を失い,それ以降は根強い人気に支えられて細々とながら今日までロングセラーを続けています。

6V6GT/Gは1945年頃に米国で誕生。当時約350種の球は年間売上高の割合で1%以下という現状を鑑み,米WPBはこれらの品種を廃止,GT管とG管の2系統に分かれていた戦前のセットの保守を容易にするため,品種をGT系に統合したもので中身は基本的にはGT管に同じ。6V6GTYはベース材料を低損失のフェノール製にした産業用・通信用管。軍などの米国政府機関の特注品で,電気的代表特性は6V6GTと同じだが,規格の許容分布範囲を厳密に規定した選別品の場合にはさらにJAN CRPなど規格を示すコードが添付される。

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American 6V6-GT/米国の6V6-GT

From left, RCA 6V6-GT in 1957 (57-48), Ken-Rad 6V6-GT/G/VT-107A (W2) and Raytheon 6V6-GT/JAN CRP 6V6-GTY in 1958 (58-50).

左はRCAの6V6-GT(57-48)1957年製。ガラス内面はカーボン・スートで中が良く見えない。プレートは楕円型で着炭,プレート・フィン,グリッド・フィンともになし。角ゲッタ2個。マイカ板は長方形。ベース文字は銀。gm=93

中央はKen-Rad 6V6-GT/G VT-107A(W2)。製造年不明。軍用の選別品。GT/Gは戦後の一時期出回った規格。品種整理のため6V6Gが廃止され,代用として使用可能であることを示す品名だった。プレートは楕円柱だが6AQ5と同サイズの小型のもので左右にプレート・フィンを持っている。ビーム・プレートはマイカ板に4点支持。皿ゲッタ(マグネシウム・ゲッタ)。ガラス管は黒塗り。マイカは円形でマグネシア塗布。プレートは着炭黒化。gm=74。

右はRaytheon 6V6-GT/JAN CRP 6V6-GTY(58-50)。軍用の選別品。1958年製。小型馬蹄形ゲッタ。ガラス管はカーボン・スート。マイカは透明。gm=87。

Glass Inside of RCA 6V6-GT in 1957/RCAの6V6-GT(57-48),1957年製の内部の様子。

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Toshiba Matsuda 6V6-GT/東芝/マツダの6V6GT

Front View of Toshiba Matsuda 6V6-GTs, From Left, Begining of 1950s and End of 1950s/東芝マツダの正面。左は1950年代前半,皿ゲッタ,ガラス裏面[通信用],プレートはフィンなしで折り返し型。gm=94。右は1950年代後半。角ゲッタ,プレート・フィン付く。gm=85。

マイカ板は上下とも2枚。1枚は長方形,もう1枚はプレート断面と同じ楕円型。楕円型はマグネシア塗布。第1グリッド,第2グリッド支柱はともに銅棒にニッケルメッキ?。スクリーンの支柱は下部マイカ板上でベルト止め。

Side View of Toshiba Matsuda 6V6-GTs, From Left, Begining of 1950s and End of 1950s/プレート・フィンの有無。プレートの厚みが変わる。

Getter of Toshiba Matsuda 6V6-GTs, From Left, Begining of 1950s and End of 1950s/ゲッタの形にも注目。フィンは4つ孔カシメ。

1960s Toshiba 6V6-GTs/東芝ロゴ。左はガラス管にToshiba,角ゲッタ,ピンチステム,[通信用,黄色文字36.2 012]。第1グリッド,第2グリッド支柱はともに銅棒,gm=104。

中央はベース印字,ガラス管頭やや平坦。ガラス管絞り込み。ドーナツ・ゲッタ,上部マイカ板は長方形2枚,楕円マイカを止める。スクリーンの支柱のベルト止めは上部マイカ板上に変わる。ボタン・ステム,ベース底にピンセパレータが付く,gm=88。

右はガラス印字,Hi-S,通則用,3K03,6V6GTは横長金文字。ガラス管絞り込みなし。28.4ファイ,32ファイ。gm=93。

Toshiba Boxes/東芝の箱。マツダ(ゴム印で[通信用])SB-308-2DC 15ウ,東芝通信用4CF60T2サ10,東芝通測用Hi-S(306-53050)4CF11T1 11。

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NEC 6V6-GT/NECの6V6-GT

NEC 6V6-GTs/左は民生用(666),gm=44でややエミ減。中央は通信管(1957-11)。スートされ中が見えない。緑帯は防湿用。新品gm=98。右は通信管(J4,1960-4)。中古gm=80。

Inside View of NEC 6V6-GTs/NECの6V6GTの中身。左は民生用(666),1950年代中頃。

驚くことにプレートは6AQ5と同じサイズで,左右にフィンがあるのが唯一の違い。上部マイカは細身の長方形。ビーム・プレートはマイカ上で4点支持。右は通信管(J4,1960-4)。他社と同じサイズのプレート。共に角ゲッタ。

Box of NEC 6V6-GT/NEC(日電)の箱。

変わっているのは中枠は右のような固いボール紙。

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Russian 6V6-GT/ロシアの6V6GT(6п6с/6P6S)

Sovtech 6V6-GT and Russian 6P6S

左はSovtechの6V6GT。gm=88。中央はロシアの同等管6п6с(6P6S)0386。(OTK 3 25 03 86)1986年3月製?gm=未計測。まったく同じ作り。円盤ゲッタ。ガラスはスートされている。プレートは楕円でリブ付き,上部マイカは円形で4つの金属バネが管壁につっぱっている。下部マイカは長方形。ともにマグネシア塗布。上部にグリッド・フィンがある。ピンチ・ステム。とても造りが良い。プレートはアルミ・クラッド鉄。

Boxs of Sovtech 6V6-GT and Russian 6P6S

左はSovtechの箱。右はロシアの同等管の箱。ともにふにゃふにゃな紙を使ったロシア製で,左は輸出用,右は国内用。しかし,右の箱の作りは上下ホチキス止めで戦前風。

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6V6-GTA

6V6GTAは,1950年代末に現れた品種で,450mA系トランスレスTVの垂直偏向出力管あるいは音声増幅管としての利用を目的に,ヒータ・ウオーム・アンプ時間を11secに規定した球です。

RCA 6V6-GTA and TNT 6V6-GTA

6V6GTA。左はRCA(CB,かなり後世のもの),ドーナツ・ゲッタをステム両脇に各1個の計2個。プレートやグリッドにはフィンなし。プレート上端に一部めくれがあるのは電子流の制御?

右はTNT(The New Tube)角ゲッタ。中国製?gm=82。上部は円形マイカ。リブ付き楕円プレートで左右に支持棒がありマイカに繋がっている。グリッド・フィンはない。プレートは黒化。

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25L6GT

25L6GTはラジオの出力用ビーム管で,RCAから1936年から1938年までに発表されたメタル管第3陣に含まれていた球です。AC,DC両用トランスレス・ラジオに低電圧大電流動作が考慮されて,後に紹介する6Y6Gと同様に,平型プレートが採用されています。平型では距離が無いだけにビーム・プレートはほとんど役たたずかもしれません。後に電気的特性が同じ150mA系の50L6GTが作られ,さらに同特性のまま容器を小型化したミニアチュア版50B550C5族も作られました。また最大定格がやや高い6W6GTも同じ一族です。後にトランスレス・ラジオで有名になった35L6GT/35C5系は,ヒータ電力を30%小さく抑えたもので,出力も2.1Wに対して1.5Wと約30%小さくなりました。

25L6GT/50L6GT:

110V,110V,-7.5V,49-50mA,4-10mA,13k,8mA/V,RL2k,Po2.1W

50C5

110V,110V,-7.5V,49-50mA,4-8.5mA,10k,7.5mA/V,RL2.5k,Po1.9W

35L6GT:

110V,110V,-7.5V,40-41mA,3-7mA,14k,5.8mA/V,RL2.5k,Po1.5W

35C5:

110V,110V,-7.5V,40-41mA,3-7mA,13k,5.8mA/V,RL2.5k,Po1.5W

国内では戦後,1954年中頃には国産化されてました。しかし,ご承知のように国内ではGT管ラジオは主流とはならず,しかも300mA系のトランスレス・ラジオは無かったので,代わりに初期のヒータ・トランスレスTVに用いられたようです。1950年代末には保守品種になってしまいました。

Toshiba 25L6-GT

東芝25L6GT。1961年頃。写真の写りが悪いが,ガラス管壁には管名,ベースには金文字でToshibaのロゴと文字。1958年には保守品種だったがその後も生産していた。灰プレート。g1,g2支柱は銅。ゲッタはドーナツ形。g1フィンは6V6GTと同じものが付いている。マイカはマグネシア塗布。ピンチステム。ヒータの溶接部にもマグネシア塗布。このサンプルは中古で,頭部は銀化,gm=79。

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6Y6G

6Y6Gは戦前に現れた古いビーム管です。平型プレートの変わった球で,距離が無いだけにビーム・プレートはほとんど役たたずかもしれません。低電圧大電流型出力管の元祖で,RCAのマニュアルには用途としてラジオの出力管とTVの高圧電源のインバータの2つを挙げていますが,国内では主に業務用(定電圧電源など)に用いられました。

Toshiba-Matsuda 6Y6-G in 1957 and Toshiba 6Y6-G in 1965

東芝マツダの6Y6G(2.6,通信用),1957年6月製?と東芝の6Y6G(40.6,通信用),1965年6月製。左はガラス管にマツダのロゴ。右はベースにToshibaのロゴ。電極は両者ともほとんど同じ作り。異なる点は,左は皿型ゲッタ,右は角型ゲッタ。プレートは左がスポット溶接,右はカシメ。なにせ古い品種だし,製造の目的は保守用にあるから,昔ながらの造りを踏襲するのが大切だったのだろう。左gm=44,右未計測。

Box of Toshiba-Matsuda 6Y6-G in 1957 and Toshiba 6Y6-G in 1965

6Y6Gの箱。左は東芝マツダ(2.6,通信用),1957年6月製?(SB-302-2DB 9ウ),右は東芝(40.6,通信用),1965年6月製,(4CF20T2 ウ10)。

Inspection Paper for Toshiba 6Y6-G

東芝(40.6,通信用)に添えられていた検査成績表。A4版1ページ。検査場所は川崎市堀川町72番地の東京芝浦電気株式会社堀川町工場,検査日は1965年6月10日。適用規格はCES通信用。1本売るのに結構な試験内容であった。gmに関しては標準時6.85mA/V,Eh-10%で-1.5%であった。

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Tung-Sol 5881

5881は,Tung-Solが1950年*に開発。原型はRCAが1936年に発表したビーム管の元祖6L66L6一族としては,ST-16の6L6-G(1937年),後に造られたST-14の6L6GA,T-12の6L6GB(1957年頃,Pp19W),6L6GC(1960年代,Pp30W)がある。こう書くと,時代とともに徐々にパワーアップしていったかに見えるが,上の民生用の系列が大型化したのは6L6GCだけである。その間には,1937年頃の送信管807(Pp25W),ここで取り上げる工業用5881(Pp22W)など幾多の回り道があったのである。

*) 当初1952年と記載しましたが,がーさんmixseeds@seaple.icc.ne.jpから,1950年の広告を寄贈いただき,修正しました。

ここで米国生粋と思われる5881を取り上げるのは何故かといいますと,工業用として1960年代に日本に輸入された球が手元に数多くあったからに他なりません。私が知っている応用例は安定化電源のレギュレータ管として多数をパラレルに使用したものでした。

Tung-Sol 5881, from Advatize in IRE, April 1952./ 米国IRE誌1952年4月の広告。

6つの特徴を挙げている。(1950年も同じ内容)

1.ボタンステムだから機械ショックに強い,

2. マイカノール・ベースはベースの漏洩を最小化して絶縁が良い

3. カソード材料の安定化で均一のエミッションが得られ長寿命。

4. 金メッキと着炭でグリッドエミッションを最大に抑えている。

5. ジルコニウム被覆で過負荷時の放出ガスを吸着する

6. 過負荷条件可で寿命試験を行っている

うーむ,ただ者ではない。

5881はEIA登録の工業用球でしたが,何か特別な規格を追加した軍用球としては6L6WGBがあり,また6L6WGB/5881というものも造られたようです。名称は似ていますが,民生用の6L6GBとは最大定格は同じではなく区別したほうが良さそうです。

Tung-Sol 5881,Early Time Sample, 1957, 3225724-3。(1957年5月)。

私が持っている中では最も早い時期のサンプル。外見は広告のモデルと変わらない。ベースの印字に3行目のロット番号が加わっているのが新しい。天井マイカの上に角型ゲッタ3個。1個につき2本のゲッタ棒が付いている。下部マイカ下のg1とg2のステムでの配線には放熱を兼ねた黒いフィンが一部使われている。gm=41。

Tung-Sol 5881s, 1966, 1967 and 1970s

左より(3226651-3,1966年12月,青印字でブランド名はEAIだが製造はTung-Sol),Tung-Sol(3226704-3,1967年1月),Tung-Sol(322RJ-3,1970年代?)。左から順にgm=39,41.5,24。最後のものはエミ減。こうして見ると5881は一貫して同じ造りだったようです。なお,TV用民生管ではゲッタは1960年辺りから角型は円形ドーナツゲッタに変わっていますが,この5881は角型ゲッタのままでした。このような例は日本にもあり,NEC(業務用の日本電気)もしばらく後まで角型ゲッタを使っていました。

Tung-Sol 5881, Inside View of 1966. (3226651-3)の解剖の図その1。

ガラスを割り,プレートを削った。見えたものは?比較的小さなビーム・プレート(ビーム形成翼),その中に金色のg1巻き線と銀色のg2巻き線だった。グリッドは目合わせしてあり,巻き線ピッチは約5/4 mm。またその中に平型の白いカソード。この写真機は赤の色が良く出ない。

Tung-Sol 5881, Inside View of 1966. (3226651-3)の解剖の図その2。

上部マイカ板付近の様子。ガラス管があるとゲッタ鏡面で内部が見えないが,取り除いてみるとこの通り,角型ゲッタが3つ。プレート支柱は2つだが,1つの支柱には段差を付けて2つ取り付けてある。1個のゲッタにはゲッタ充填棒が2本。かなり強力だ。g1支柱は銅,g1フィンは黒化U字型。カソードはビームプレートと上部でも接続されている。

Tung-Sol 5881, Inside View of 1966. (3226651-3)の解剖の図その3。

下部マイカ板付近の様子。g1は銀色の板,g2は黒色の板でベースピンから来たリード線に接続されている。カソードはシームド型。

Box of 5881, Tung-Sol and RCA/

左はTung-Sol 5881(322RN-3),右はRCA 5881。両者とも外見はそっくり。ベースの印字内容がちょっと違うだけ。インクは同じ。両者ともガラス管の管名の下にはU.S.A. 3とあります。RCA製のベースにはMADE IN U.S.A. 6639.(1966年9月?)とあります。これも実は100%Tung-Sol製です。RCAはマニュアルに載せている品数は多いが,太古の昔から真空管商社だった訳で,驚くに当たりません。RCA製を欲しがるオーデイオマニアは多いのですが,日本では値段が高いばかりで,ちっとも良いことは無いと思います。5881に関する限り,RCA製ではこの1種類しか見たことはないのですが,TV用民生管の6CK4などはモデルの異なる数社がRCAに納めたようですので,同じRCA製でも現物を見ないと外見上の当たりはずれが大きくなってしまいます。

また,1980年代に秋葉原で5881と称するT10相当の細身のガラス管の球を見たことがありますが,細身の民生用6L6-GTでした。6L6系であれば同じ電気的特性が得られるかもしれませんが,工業用としてのタフさが無いと5881と言えません。後に出た6L6GCは最大定格では5881を上回っていますので,音響用には優れているのですが,所詮はダメになったら直ぐに交換することを前提に造られた民生用球ですので,最大定格いっぱいで設計しガス放出させますと,すぐに死んでしまいます。逆に,5881を用いてタフだと言っても音が良いかどうかは別問題です。

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Tung-Sol 6550

6550は,Tung-Solが1955年頃に開発。原型はRCAの水平偏向出力管6CB5と思われ,これを5881と同様に工業用の堅牢な高信頼管としたものと思われます。イギリスGECのKT88と類似した特性を持つことが知られていますが,どちらかというと,KT886550をもとにオーデイオ用としての適性を持つように改良した球のように思われます。日本の大出力管6G-B8も実はRCAの6CB5Aをもとに造られていますので,3つの球は兄弟なのです。

なお,6550は後に6550Aに改良されましたが,EIA登録はGEではないかと思っています。

Tung-Sol 6550,Early-Time Model, from Advatize of IRE, April 1955/

初期モデル。米国IRE誌1955年4月の広告に初めて登場。少しガラス管が長かった。

Tung-Sol 6550, from Advatize of IRE March 1956, and Sample of 1957/(左)米国IRE誌翌年の1956年3月の広告。(右)は私のサンプル。おなじTung-Sol 6550(3225717-3),1957年5月?。

(左)初期に比べやや短くなった。(右)は私のサンプル。おなじTung-Sol 6550(3225717-3),1957年5月?。同じ角度から撮ったもの。ベースの文字は裏側になっているが,全く同じモデルであることが分かる。サンプルは新品でgm=54。

Tung-Sol 6550 , Front and Size of 1957. (3225717-3)の正面と横。

プレートは着炭黒化。ゲッタは天井マイカの上に角型3つ。使用されているマイカ板は上下ともにサイド・マイカ用の手が3つの付いたものだが,未使用だから,他の球のものを流用したらしい。

Tung-Sol 6550,From Advatize of IRE, January 1960, and Sample of 1968./米国IRE誌翌年の1960年1月頃の広告。(右)Tung-Sol 6550,私のサンプル,その2。3226852-3(1968年12月?)。

ゲッタが天井の他,プレート側面に2個付いた。(右)Tung-Sol 6550,私のサンプル,その2。3226852-3(1968年12月?)。天井マイカの位置がやや上に変わっている。ゲッタはドーナツ型3個。プレートも灰色で側面に丸穴3つ付いたものに変わった。サンプルは新品でgm=48。予告編でお見せした6550の解体図は,これと同一ロットのサンプルでした。

Tung-Solの6550, Inside View of Sample of 1968, 3226852-3/(1968年12月?)の真空漏れを起こしたガラス容器を取り外した図。ベースには白字でブランド名EAI,made in U.S.A. 56200740。

プレートは角型でジルコニウム塗布,両側面には丸穴3つ。上部マイカ板の上に天井マイカ。ゲッタはドーナツ型3個である。天井に1つ,プレート両側に1個づつ。上部と下部のマイカ板はg1-g2間,各電極とプレート間にそれぞれ切り込みが入っており高耐圧設計である。

g1フィンは黒化したコの字型。g1支柱は銅,g2支柱は銀色。両グリッド巻き線は金メッキで輝いているはず。ビーム・プレートは極めて幅の細いフレームからできており,金属色である。カソードは角型で上部マイカ板の上でビーム・プレートに接続されている。ヒータはヘアピン型が独立2系統入っている。

ベースは金属を巻いたシェルで,ベース・ピン部は濃い茶色。ベースへの引き出しは,g1は2つの支柱から2本が独立に5-pinに接続されている。

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(c)1998-2002, 2006 Koji HAYASHI All rights are reserved.
1st edition (1998.4.17)+(1998.6.26)+(1998.10.31)+(1998.11.14)+(2002.1.17)